私を何度も助けてくれた人を、私は助けられなかった|再就職先で伝えた「ごめんなさい」

職場で苦しそうにしている人を見ても、私は何もできませんでした。

「大丈夫ですか?」

その一言さえ言えなかったことを、今でも後悔しています。

数か月後、再就職した工場で、その人と偶然再会しました。

そこで交わした短い会話は、今でも忘れられません。

これは、私が何度も助けてもらった人に何も返せなかった後悔と、環境を変えることの大切さを感じた体験です。


目次

私にとって恩人だった人

前の職場に、私が何度も助けてもらった男性がいました。

40歳くらいで、班長ではなく検品を担当していた人です。

男性が少ない職場だったこともあり、女性が重い物を持っていると、自分の仕事を止めてでも自然に運んでくれました。

班長だった私が困っている時も、いつも味方になって助けてくれました。

「ありがとう。」

そう思う場面が何度もありました。

要領は良いとは言えなかったかもしれません。

でも、とても真面目で、一生懸命働く人でした。

私が今でも忘れられない出来事があります。

外国人技能実習生に、日本の桜を見せてあげたいと言って、自分の車で送り迎えをし、有名な桜の名所へ連れて行ってあげたそうです。

その話を聞いた時、

「この人らしいな。」

と心が温かくなりました。

困っている人を見ると放っておけない。

私にとって、その人はそんな人でした。


少しずつ元気がなくなっていった

そんな姿とは反対に、職場では厳しい言葉を向けられる場面を何度も見ました。

私には、その様子がとてもつらく見えました。

少しずつ痩せていき、やがて休みが増えました。

そして退職しました。

後から、事務所で涙を流していたと聞きました。

私はその場を見たわけではありません。

でも、その話を聞いた時、「あの時のつらさは、私が思っていた以上だったのかもしれない」と感じました。

私はショックでした。

そして、今でも後悔しています。

もっと話しかければよかった。

「大丈夫ですか?」

その一言だけでも伝えていれば、少しは気持ちを吐き出せたかもしれない。

そう思うことがあります。


私も同じ道を歩くことになるとは思わなかった

当時、私は班長を辞めたいと工場長へ相談していました。

工場長は、

「その人が班長になるから大丈夫。」

という話をしてくれていました。

私は安心していました。

ところが、その人が退職したことで話は変わります。

「ちょっと待って。」

そう言われ、私は班長を辞められませんでした。

その頃から、私自身も職場で強いストレスを感じるようになっていきました。

当時は、まさか自分も退職することになるとは思っていませんでした。

でも結果的に、私も適応障害と診断され、会社を辞めることになりました。


再就職先での思いがけない再会

再就職した工場で、思いがけない再会がありました。

その人が働いていたのです。

私は本当にうれしくなりました。

作業服姿だったので、最初は私だと気づかなかったようです。

私が名前を伝えると、

「こっちに来たんですね。」

と笑顔で言ってくれました。

その日の帰り道、駐車場まで一緒に歩きました。

その時、その人が最初に言った言葉は、

「何も言わず辞めてすみません。」

でした。

私は思わず、

「何もしてあげられなくてすみません。」

と答えていました。

お互い、前の職場のことを詳しく話すことはありませんでした。

私は、

「大変でしたね。」

とだけ伝えました。

それだけで十分でした。

全部説明しなくても、お互いに大変だったことは分かっていたような気がします。

私は、

「また一緒の職場で働ける。」

そう思っていました。

でも、しばらくすると姿を見かけなくなりました。

後になって、その人が退職したと聞きました。

詳しい事情は私には分かりません。

ただ、また会えなくなってしまったことが残念でした。


今なら伝えたいこと

もし、もう一度会えるなら伝えたいことがあります。

「あの時は、本当にありがとうございました。」

「私はあなたに何度も助けてもらいました。」

「でも、私は何も返すことができませんでした。」

そして、もう一つ伝えたいことがあります。

あなたのことを理解してくれる人は、必ずいます。

あなたを必要としてくれる職場も、必ずあります。

私自身、職場を変えて初めてそれを実感しました。

前の職場では、自分を責め続けていました。

でも、環境が変わると、人との接し方も、自分の気持ちも大きく変わりました。

あの時の私は、「その職場で頑張ること」しか考えていませんでした。

今なら違います。

誰かを支配しようとする人がいる環境で、自分らしく働き続けることは、とても難しいことがあります。

そんな時は、自分を責める前に、その環境から離れるという選択肢があってもいい。

私は、あの再会を通して、そのことを改めて感じました。

もし今、同じような職場で苦しんでいる人がいるなら伝えたいです。

あなたを理解してくれる人は、必ずいます。

そして、あなたを必要としてくれる場所も、きっとあります。

あの頃の私は、「辞める」という選択ができませんでした。

班長を辞めれば解決すると思い、限界まで頑張り続けてしまいました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次