この人には頼れないと思った日|職場いじめの中で感じた孤独

職場いじめというと、加害者から受けた言動を思い浮かべる人が多いかもしれません。

けれど私にとって本当に苦しかったのは、信頼していた人に頼れなくなったことでした。

味方だと思っていた人との距離を感じた時、人は想像以上に孤独になります。

今回は、職場いじめの渦中で私が感じた「頼れる人がいない」という苦しさについて振り返ります。

目次

頼れる仲間だと思っていた班長

職場いじめの中で、一番つらかったことは何だったのか。

そう聞かれたら、私は加害者のことではなく、ある班長のことを思い出します。

その人は私より10歳くらい年下でした。

同じくらいの時期に入社し、同じ班長として働いていました。

昼休みには席が隣で、家族の話や仕事の話もしていました。

特別に仲が良かったわけではありません。

でも私は勝手に、同じ立場で頑張る仲間だと思っていました。


少しずつ感じた距離

今思えば、少しずつ変化は始まっていました。

ちょうど私が更年期の症状で体調を崩していた頃です。

毎日仕事へ行くだけで精一杯でした。

朝から体が重く、職場に着く頃には肩や首がこわばっていました。

それまで普通に話していたのに、どこかよそよそしくなった気がしていました。

挨拶をしても会話が続かない。

隣に座っていても、以前のような気軽さがなくなっている。

そんな小さな違和感が積み重なっていきました。

気のせいかもしれない。

そう思おうとしていました。

でも昼休みの時間が少しずつしんどくなっていきました。

周りの話し声が聞こえるたびに、自分だけがその輪の外にいるような気がして、胸の奥がざわざわしました。

体調が悪くても、

「大丈夫?」

と声をかけられたことはありませんでした。

本当は誰かに気づいてほしい気持ちがあったのに、それを口にすることもできませんでした。

今思えば、その頃から距離はできていたのかもしれません。


班長を辞めたいと伝えた日

当時の私は班長を辞めたいと思っていました。

班長不足だったこともあり、簡単には辞められません。

それでも限界に近くなり、班長会議で辞めたいと話しました。

会議の場でその言葉を口にした時、心臓が強く脈打ち、手のひらにはじっとりと汗をかいていました。

すると工場長からは、

「もう少し待ってほしい」

と言われました。

私はまだ頑張るつもりでした。

辞めたいと言いながらも、投げ出したかったわけではありません。

本当に苦しかっただけでした。

誰かに今の苦しさを分かってほしい。

そんな気持ちで精一杯だったのを覚えています。


支えてくれる言葉と、そうではない言葉

その時、他の班長たちは言ってくれました。

「みんなで手伝うから」

私はその言葉が嬉しかったです。

張りつめていた気持ちが少しだけ緩み、胸の奥が温かくなるのを感じました。

理解してもらえた気がしました。

だから頑張ろうと思いました。


でも、その時に一人だけ違う言葉を口にした人がいました。

その班長でした。

正確な言葉は覚えていません。

でも、

「包装は大変だから、しっかりしてもらわないと」

そんな意味のことを言われました。

間違ったことを言っているわけではありません。

正論だったと思います。

だから反論もできませんでした。

でもその言葉を聞いた瞬間、胸の奥がすっと冷えていくような感覚がありました。

助けを求める気持ちでいたのに、突き放されたように感じたのです。

周りの声が遠くなり、自分だけがその場に取り残されたようでした。

そして私はその時、こう思いました。

「この人には頼れない」

と。

怒りではありません。

恨みでもありません。

ただ、頼れると思っていた人ではなかったのだと感じました。

その瞬間、小さく残っていた安心感が静かに消えていった気がしました。


孤立感が深まっていった

その後、「もういいです」という出来事がありました。

そこから状況はさらに悪くなっていきました。

私を攻撃していた人と、その班長が一緒にいることが増えました。

二人でこちらを見ながら話している。

その光景が視界に入るたびに、胃のあたりがぎゅっと縮むようでした。

そして何か言いに来る時は、決まってその班長でした。

仕事のこと。

班長業務のこと。

私のやり方への指摘。

今となっては細かい内容までは覚えていません。

でも、加害者と一緒に来る姿を見るたびに、私は苦しくなっていました。

また何か言われるのではないか。

そう思うだけで体がこわばり、相手の足音にも敏感になっていました。


誰にも頼れなくなっていた自分

それでも私は誰にも相談しませんでした。

工場長にも。

他の班長にも。

家族にも。

普通を装っていました。

何もないふりをしていました。

文句を言われても正論で返し、平静を装いました。

でも心の中では、

「誰にも頼れない」

そう思っていました。

職場では常に気を張り続け、家に帰る頃にはどっと疲れが押し寄せていました。

それでも弱音を吐くことができず、一人で抱え込んでいました。


今は恨みではなく振り返れる

今振り返ると、不思議な気持ちになります。

私はあの人を恨んでいません。

辞めて数か月後、ドラッグストアで偶然会ったことがありました。

お互い少し気まずそうに手を振っただけでした。

それで終わりです。

今さら何かを聞きたいとも思いません。


本当の理由は分からないまま

本当の理由は今でも分かりません。

私が何も相談しなかったからかもしれません。

私自身が壁を作っていたのかもしれません。

あるいは別の理由があったのかもしれません。

ただ今は、あの人も何か辛いものを抱えていたのかなと思うことがあります。


あの頃の自分に伝えたいこと

それでも、あの頃の私は本当に孤独でした。

職場いじめで苦しかったのは、攻撃されたことだけではありません。

頼れると思っていた人に頼れなくなったこと。

そして、自分からも誰にも頼らなくなっていたこと。

それが私を少しずつ追い詰めていたのだと思います。

誰かに声をかければよかったのかもしれない。

でも当時は、断られることや否定されることが怖くて、その一歩が踏み出せませんでした。

今の私なら、あの頃の自分にこう言います。

「誰かに話してよかったんだよ」

一人で抱え込まなくてもよかった。

そう伝えたいです。

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