不機嫌で支配するフキハラ上司|顔色を読む職場の記録

※この記事は「質問が怖くなった理由 ― 3人の工場長の話」シリーズの第2話です。
シリーズまとめはこちら 👇

質問が怖くなった理由 ― 3人の工場長の話【まとめ】

目次

1人目が去り、少しだけ期待した

1人目の工場長がいなくなったとき、
私は少しだけ期待しました。

怒鳴り声のない職場になるかもしれない。
強い叱責に怯えなくていいかもしれない。

「これで空気が変わるかもしれない」

そう思いました。

でも、現実は少し違っていました。


2人目の怖さは“静か”だった

2人目の工場長は、怒鳴りませんでした。

大声も出さない。
直接責めることもない。

その代わり――
いつも、不機嫌でした。

言葉が少ない。
返事がない。
目を合わせない。

質問をしても、
小さくため息をつくことがある。

たったそれだけ。

でも、それだけで十分でした。


班長への冷たい態度

特に、班長である私たちへの態度は冷たく感じました。

他の社員とは普通に話しているのに、
こちらにはそっけない。

忙しい時間帯にトラブルが起き、
勇気を出して声をかける。

「……」

返事はない。

そのまま、不機嫌な表情で現場へ向かい、
自分で確認しに行く。

私は後ろからついていくしかありませんでした。

何が正解だったのか、
結局わからないまま。


怒鳴られるより、きついことがある

怒鳴られると、傷つきます。
でも、言葉がある分、形がある。

理不尽でも、
「怒られた」という事実ははっきりしている。

でも、不機嫌は違いました。

何も言われない。

だからこそ、
自分の中で原因を探してしまう。

「私が悪かったのかな」
「タイミングが悪かった?」
「言い方がまずかった?」

答えのない反省を、
何度も繰り返しました。


顔色を読むことが仕事になった

班長という立場は、
上と現場の間に立つ役目です。

現場の声を上に伝え、
上の指示を現場に伝える。

でも、上が不機嫌だと、
その空気はそのまま現場に流れます。

私はいつの間にか、
仕事よりも“空気”を読むようになっていました。

今日は機嫌がどうか。
今話しかけても大丈夫か。
ため息はついていないか。
目は合うか。

作業の段取りより、
声をかけるタイミングのほうが重要になっていました。


不機嫌は、見えない支配

今なら分かります。

あれは指導ではありませんでした。

明確な叱責もなく、
直接的な暴言もない。

でも、不機嫌で圧をかけることも
立派なハラスメントです。

言葉がなくても、
態度で支配することはできる。

周囲が顔色をうかがい、
空気を乱さないように動く。

それは、静かな支配でした。


少しずつ変わっていった私

私は少しずつ変わっていきました。

質問する前に、
まず顔色を見る。

相談する前に、
ため息の有無を確認する。

「今はやめたほうがいいかもしれない」

そうやって自分を引っ込めることが増えました。

怒鳴られていないのに、
確実に削られていく。

気づいたときには、
私は“空気に合わせる人”になっていました。


言葉がなくても、人は傷つく

ハラスメントは、
大きな声だけではありません。

無視。
ため息。
目を合わせない態度。

それらも積み重なれば、
人を萎縮させます。

怒鳴られなくても、傷つく。

私はそのことを、
あの職場で学びました。

そして今も、
忙しそうな人を見ると
無意識に顔色を読んでしまう自分がいます。

それが、あの頃の名残です。

次の話を読む

止めない上司もハラスメント?守られなかった職場

シリーズ一覧に戻る

あの日の涙を、無駄にしないために。〜50代で再就職した私の記録と、現実の働き方〜

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次