※この記事は
**「第2部|壊れない働き方を探した記録」**の一話です。
再就職してからも、
すぐに元気になれたわけではありません。
怖さが残ったまま働くこと。
距離を取りながら続けること。
無理をしない選択。
第2部では、
壊れないための働き方を探した時間を書いています。
同じように迷っている人に、
静かな安心が届けばと思っています。
正社員をやめて、
派遣で働き始めた。
最初は、正直に言うと、
少しだけ引け目があった。
「逃げたのかな」
「楽な方を選んだのかな」
そんな声が、
心の奥に残っていた。
誰かに言われたわけではない。
自分で、自分を責めていただけだ。
でも、
働き続けるうちに、
はっきり分かったことがある。
この距離感が、私を守っている。
半歩引いた場所に立つ感覚
派遣の仕事は、
責任がないわけではない。
任された作業はある。
ミスをすれば指摘もされる。
でも、
背負いすぎなくていい。
ここが、
正社員だった頃と決定的に違った。
以前の私は、
会社の問題も
人間関係も
評価も
空気も
全部、
自分のことのように抱え込んでいた。
誰かの機嫌。
上司の一言。
会議の空気。
どれもが、
自分の価値と直結していた。
今は違う。
私は、
自分の持ち場をやる。
それ以上は、
背負わない。
この一本の線が引かれているだけで、
心の疲れ方は、
驚くほど変わった。
中心にいない安心
少し冷たい言い方をすると、
私は「中心メンバー」ではない。
重要な決定に関わることもない。
方針を決める立場でもない。
昔の自分なら、
きっと寂しいと感じていたと思う。
「必要とされていないのかな」
「ここにいて意味があるのかな」
そう考えていたはずだ。
でも、今は逆だった。
この距離が、ちょうどいい。
会社の渦の中心にいないから、
巻き込まれない。
感情のぶつかり合いに、
入らなくていい。
誰かの評価で、
一喜一憂しなくていい。
少し離れた、
静かな場所に立てる。
それが、
思っていた以上に楽だった。
「気楽」という言葉への罪悪感
派遣は気楽。
この言葉に、
ずっと罪悪感があった。
気楽=無責任
気楽=逃げ
気楽=甘え
そんなイメージを、
自分の中で勝手に作っていた。
でも今は違う。
気楽は、
逃げじゃない。
持続可能という意味だった。
壊れない働き方は、
長く続く。
無理して続けるより、
ずっと強い。
この感覚を、
私は派遣で初めて知った。
全部を背負わないという選択
私はもう、
全部を背負う人間には戻らない。
評価も
責任も
期待も
ほどほどでいい。
その代わり、
ちゃんと働く。
ちゃんと帰る。
ちゃんと生きる。
これを、
きちんとやる。
それで十分だと、
思えるようになった。
派遣という働き方が教えてくれたこと
派遣は、
妥協ではなかった。
調整だった。
人生のバランスを、
取り直す時間。
壊れたあとに、
もう一度設計し直すための働き方。
私は今、
回復しながら働いている。
無理をしない。
自分を削らない。
これが、
今の私には一番しっくりくる。
距離を取るという強さ
若い頃の私は、
距離を取る人を
冷たい人だと思っていた。
本気じゃない人。
逃げ腰な人。
そんなふうに見ていた。
今は違う。
距離を取れる人ほど、
自分を守っている。
無理をしない強さを、
ちゃんと知っている。
私は、
ようやくそれを覚えた。
遅かったかもしれない。
でも、
間に合った。
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疲れる日もある。
それでも続けたい理由を書きます。
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