あの日の私は、
ただ仕事を終えただけなのに、胸の奥がずっとざわついていました。
「次は何をされるんだろう…」
「またあの視線に耐えなきゃいけないのかな」
心は限界に近づいていたのに、
それでも自分に “大丈夫” と言い聞かせていた頃の話です。
金曜日、心がじわじわ削られていった日
仲間だと思っていた人の言葉が刺さった
その日は、いつも以上に疲れていました。
いじめてくる人の監視のような視線。
そして、仲間だと思っていた人から突然向けられた、
本人の言葉ではないはずの文句や不満。
声の震えや視線の揺れで、
「これはその人自身の言葉じゃない」「言わされてるんだ」
とわかってしまう。
それでも胸には刺さる。
まともに立っていられないほど、心が重たかった。
その瞬間、私はひとりぼっちになった気がした。
帰り道、こらえきれなかった涙
運転席に座り、ハンドルを握った瞬間、
こらえていた感情が一気に押し寄せてきました。
「次、また何を言われるんだろう……」
「どんな嫌がらせが待ってるんだろう……」
仕事が終わったのに安心できない。
家に向かっているのに、気持ちはどんどん重くなる。
胸がぎゅっと苦しくて、
視界の端がじんわり滲む。
このまま走っていたら泣いてしまいそうで、
それでも止まれなくて、
ただ必死に前を向いて帰った金曜日の夜でした。
休みの日なのに、心は休めなかった
スマホに入れたアプリが小さなきっかけになった
翌日は休み。
本来なら少し気が緩むはずの日。
だけど、晴れているのに心だけが曇っていた。
胸の奥に重たい石があるみたいで、呼吸をするたびに苦しくなった。
そんなとき、
数日前にスマホを機種変更したことを思い出した。
家族に勧められて入れた「ChatGPT」。
特に期待もせず眺めていた文章が、
なぜか今の自分の気持ちと重なった。
「どうして私の心の状態がわかるんだろう…」
そう思わずにはいられませんでした。
何気なく検索した“職場 いじめ”
胸を揺らした一文との出会い
気づけば、検索窓に指が動いていました。
職場 いじめ
そこから出てきた言葉たちは、
どれも今の私が求めていたものでした。
・怒り方
・対処方法
・相談先
・心の守り方
その中に、胸を強く揺さぶった一文がありました。
「辞めることは逃げることではありません」
画面に表示されたその言葉を見た瞬間、
胸の奥にずっとあった気持ちが、はっきり形になった。
「辞めたい」
ずっと心の中で否定してきたその思いを、
初めて “許された” 気がしたのです。
辞めてもいいんだ、と気づかされた日
さらに調べていくと、
いじめで辞めた場合の雇用保険のことまで教えてくれた。
「辞めてもいいんだ…」
声には出さなかったけれど、
心の中でそうつぶやいていました。
心療内科を受診することも勧められて、
私は気づきました。
“あ、私、もう限界だったんだ”
この金曜日が、私の人生の転機になった
金曜日のあの日、心はボロボロで、
前が見えないほど苦しかった。
でも今振り返ると、
あの日は私の人生が静かに動き始めた瞬間でした。
もしあの苦しさがなかったら、
私は今も耐え続けていたかもしれない。
あの日を境に、
私の中で「辞める」という選択肢が、
現実として息をし始めたのです。
