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再就職から1週間——運動会で知った本当のこと

再就職してから、気づけばもう1週間が経っていた。

その日曜日は、子どもの中学校の運動会。
青空の下、久しぶりに仕事のことを忘れて、
ただ座っているだけの時間が、少し不思議に感じられた。

まさかこの日、
胸の奥にしまいこんでいた気持ちに、
そっと触れる出来事が起きるとは思っていなかった。


目次

思いがけない再会と、心配の声

競技を眺めていると、
前の会社で一緒に働いていた人が2人、
わざわざ私のところに歩いてきてくれた。

開口一番、心配そうな表情で言われた。

「体、大丈夫?」

その一言に、私は驚いた。

在職中、
私は誰にも何も言っていなかったから。


「辞めたの、◯◯さんのせいでしょ?」

ふたりは、迷いなく続けた。

「辞めたの、◯◯さんのせいでしょ?」

胸の奥が、一瞬でざわついた。

思わず聞き返した。

「……わかってた?」

ふたりは、ためらうことなく答えた。

「だって酷かったもん。見てて、わかったよ」

そして、申し訳なさそうに目を伏せて、こう言った。

「何もしてあげられなくて、ごめんなさい」

その言葉は責めるようなものではなく、
本当に気持ちがこもっていて、
胸の奥がじんわり熱くなった。


私が辞めたあと、ターゲットは変わっていた

さらに話を聞いて、
私は息を呑んだ。

私が辞めたあと、
あの人は新しいターゲットを見つけ、
何人かをいじめているらしい。

いじめられている人は、
隣にいるだけで動悸がしてしまうほど、
追い込まれているという。

「何とかしてあげたいけど、
誰があの人と繋がっているかわからないから、動けないの」

その声は、震えていた。

今では前よりもさらに威張り、
もっと強く仕切るようになっているらしい。

ふたりは必死な表情で言った。

「辞めて正解よ」
「あなたが受けたのは、訴えてもいいレベルだよ」

救われる気持ちと同時に、
胸の奥に小さな痛みが広がった。


あの日、私はひとりで抱えていた

もし、あのとき——
誰かに相談していたら。

そう思わずにはいられなかった。


読んでくださっているあなたへ

あの日の私と同じように、
誰にも言えないまま、
ひとりで耐えている方がいるかもしれません。

「つらいなんて言えない」
「弱いと思われたくない」
「迷惑をかけたくない」

そうやって、
本当は痛かった気持ちに、
そっと鍵をかけてしまうことがありますよね。

私も、ずっとそうでした。

涙が出るほど苦しかったのに、
誰にも見せられなくて、
自分の心を置き去りにしたまま、
毎日をやり過ごしていました。

今でも思い出すと、
胸がきゅっとなる日があります。

「あの頃の自分を、抱きしめてあげたい」
そう思うようになりました。

今なら、わかります。

誰かに話してもいいんだ、と。
涙しか出なくても、
言葉にならなくても、
「つらかったね」と受け止めてもらえるだけで、
心がふっとほどける瞬間があることを。

もし今、同じようにしんどい気持ちを抱えている方がいたら、
無料で話を聞いてくれる窓口があります。

  • 労働局の総合労働相談コーナー
  • 法テラス
  • 自治体の相談窓口

ひとりで抱えなくてもいいんです。

あなたの弱さは、弱さではありません。
それだけ、必死に頑張ってきた証です。

あの日の私が救われなかった分、
いま苦しんでいるあなたが、
少しでも呼吸しやすくなりますように。


今になって思うこと

私は、何も言わずに辞めてしまった。

でも、
相談できる場所があることを知っていたら、
違った選択肢もあったかもしれない。

いじめやパワハラが理由の退職は、
会社都合になる場合があり、
雇用保険の受給条件も変わることがある。

あの日の私は、
ただ耐えることしかできなかった。

だから今、
過去の自分にそっと伝えたい。

「ひとりで抱えなくてよかったんだよ」 と。

▶次の第19話は、再就職手当、早かった——静かに胸にしみた日

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